ーまず改めて仕事の内容を教えてください。
主に社員育成全般を担当しています。新卒社員、既存社員、中途社員、それぞれに対して必要な研修の設計などを行っています。また、一次面接など新卒採用業務も一部担っています。
会社がフルリモートワーク制度を導入したことを受け、直近はリモートでの新卒社員研修の設計・運営を取り組みました。3月末から会社全体がフルリモートワークになり、新卒研修自体も直前まで対面か、リモートで実施するかで悩みましたが、最終的には入社式4営業日前に新卒研修のすべてをリモートで実施することにしました。5月末で新卒社員への全体研修は終わりましたが、成長度合いを確認するため、今後1年間は、月に1度新卒社員とのコミュニケーションの場を持つ予定です。
ーリモートでもリアルの場合と同じように効果的な研修ができたのでしょうか。
できたと思います。研修の成果は一概に数字で表すことはできませんが、私自身リモート環境下ではなかなか難しいのではと思っていた研修が、最後まで問題なくやりきれ、リモートならではのメリットも感じました。次回以降も、新卒社員研修はリモートで問題ないと思っています。
リアルでの研修は、三密を防ぐため、いくつかのグループごとに会議室を分けて行う予定でした。しかし、会議室Aはリアルで研修を受けて、会議室Bは中継で研修を受ける、となると、各グループに提供できる研修の質を均一にすることが難しいと思っていました。オンラインにすることで誰に対しても公平に、全員が最前列の席で受けられるような研修を行うことができました。
また、地方拠点の社員と繋がりやすくなったのも良かった点だと思っています。新卒研修では毎年「社員図鑑」という、先輩社員のリアルな話を聞く時間があります。会議室での研修の場合はどうしても、東京にいる社員が中心でしたが、リモート研修では物理的な距離は関係ないので、様々な場所で働いている社員から話してもらうことができました。研修の段階から地方で働く社員と繋がることができるのは、今後働くうえでも非常に有意義だと思っています。
さらに、研修内容を録画することで、中途入社の社員研修にも展開ができたことは、リモート研修ならではのメリットだと考えています。
ーリモート研修の設計時に工夫した点があれば教えてください。
フィードバックの量を増やすことです。リモート研修では、その場で確認ができないため、知識の定着具合を測ることが難しいです。そこで、理解度を確認するための小テストを頻繁に行いました。また、ざっくばらんに何でも聞いていいよ、という時間を取り、新入社員がどこで躓いているのかを把握するようにしました。
他にも、去年まで行っていなかった「自己開示」というプログラムを新たに組み込みました。一人ひとりにモチベーショングラフを作ってもらい、どういうときにテンションが上下するのかをじっくりヒアリングしたのです。このプログラムによって、新入社員同士がお互いのことを知れるだけでなく、当人にとっても自分のことを改めて知るいい機会となりました。研修担当者としても、新卒社員との心理的な距離はぐっと縮まったのかなと思っています。
さらに工夫して効果が大きかったことは、新卒社員に、より主体性を持ってもらうためにと始めた、ドラフト制での配属先の決定です。これまで、新卒社員の配属先は人事が決めていました。しかしドラフト制にすることで、新卒社員から入りたい部署を希望してもらい、事業部からも欲しい人材を指名することができるようにしました。その結果、新卒社員からも、既存社員に積極的に話を聞きに行くようになり、より能動的に研修期間を過ごしてもらえるようになりました。