M&Aを、当たり前の選択肢に。一年後のM&A事業部の立ち上げに向けて、今こそ求められる意識改革とは?

経営・事業
2021.11.01
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中村有輝(なかむらゆうき)
株式会社日本M&Aセンター出向
高村典江(たかむらのりえ)
株式会社日本M&Aセンター出向
高田一希(たかだかずき)
株式会社日本M&Aセンター出向

M&A事業を、Webマーケティング事業と並ぶ新たな柱に

――まずは皆さんが出向メンバーに選ばれた経緯から教えていただけますか?

高村:私はソウルドアウトで主にアライアンス領域を担当していて。そういう意味では、M&Aと比較的近しい領域で働いていたんですね。まずはこれが私が候補に選ばれた一つの理由だと思います。一方で、私自身、これからもソウルドアウトで中小・ベンチャー企業の支援を手がけていくために、より経営者に近い視点でビジネスに携わりたいとも考えていました。その上で、M&Aを通じて経営者と直接対峙することは、今後のキャリアアップのための大きな糧となるのではないか。そんな風に考えて、今回の出向依頼に了承しました。

高村

高田:僕の場合は、いつか自分自身が経営者になりたいと思っていたことが大きいですね。というのも、僕の祖父も父も、家業として印刷会社を営んでいたんです。けれど、リーマンショックの影響で業績が悪化し、結果的に父の代で会社を畳まざるを得なくなってしまって。でも、もしあのときに、M&Aで事業譲渡をするという選択肢があれば、会社が存続した可能性もあったと思うんです。そういう実体験や想いがあったので、今回のオファーをいただいたときには「ぜひ行かせてください」と即答しました。

中村:僕は、自分で立候補した形です。出向する以前は、マーケティングカンパニープレジデントである北川さんの直下で、マーケティングカンパニー全体の成長戦略の立案などに携わっていたのですが、そのなかで常に課題として意識していたのが、Webマーケティング事業に続く、新たな柱となる事業を育てていかなければならないということです。その一つとして、M&A事業は非常に高いポテンシャルを秘めていると感じていました。それならまずは自分自身がその知識を身につけようということで、今回手を挙げさせていただきました。

アポイントの獲得と業界理解に奔走した一カ月

――出向から約一カ月が経ちましたが、日本M&Aセンターではどのような仕事に取り組んできたのでしょうか?

高村:お二人もそうだと思いますが、最初はとにかくリード獲得ですね。M&Aという手法のメリットをより多くの経営者の皆さまに理解していただくために、新規営業に注力しています。それと併行して、自分が担当する業界のM&A事例のインプットも進めていきました。私が配属されたIT業界の場合、業界全体の成長速度が速いため、事業譲渡を含めたM&Aが非常に活発です。そのなかでよりベストなマッチングを実現するには、何はともあれより多くの案件を集めてくることが肝心になります。そこで最初にお話したテレアポをはじめ、これまで培ってきた人脈も活用しながら、とにかく案件創出に注力した一カ月でした。

中村:IT業界とは反対に、僕が担当した食品業界、特に外食産業はコロナ禍の影響をモロに受けて、M&Aがコロナ前と比較し大幅に減少している状況のようで、どの企業も株価が下がっているため、買い手にとっては有利な側面もあるのですが、やはり皆さん先行きの見えない状況でリスクを冒したがらない。僕も新規営業を通じて、できるだけ多くの企業にアプローチしているのですが、反応はまだまだ芳しくないですね。もちろん、僕の力不足もあるとは思うのですが、正直M&A業界の洗礼を受けているという感じがあります。

中村

高田:僕が担当している物流業界は、コロナ禍に加え法改正の影響も大きいですね。例えば、2024年のトラックドライバーの時間外労働の上限規制施行に向け、今、多くの企業が中継基地となる拠点整備に奔走しています。そうなると当然、体力のない企業は生き残れないため、必然的にM&Aが活発化します。業界全体としては、経営者の高齢化が進んでいるため、事業継承のニーズも多いですね。ご相談をいただけば、エリアを問わず全国どこの企業さまも対応することになっていますので、この一か月でも日本各地を飛び回りました。

M&Aに対するネガティブなイメージが払拭された

――実際にM&Aに携わるなかで、何か気付きはあったでしょうか?

中村:まずはM&Aに対するイメージが変わりましたね。今までは、どうしてもM&Aというのは限られた人にしかできない打ち手だという印象があったんです。でも、実際に携わってみると全然そんなことはなくて。特に売り手の経営者にとっては、親族への事業継承と同じくらいの感覚で、M&Aによる事業継承という選択肢が出てくるようになってもいいのではないかと感じています。恐らく、多くの経営者にとって、まだまだM&Aというのは未知のものなんですよね。それこそWeb広告が登場した頃には、「Webでプロモーションをしましょう」といっても、皆さんなかなかピンとこなかったじゃないですか。それと同じような状態なのだと思います。だからこそ、まずはM&Aとは何かを知っていただくことが大切になる。テレアポの際にも、そこは常に心がけていますね。

高田:「大企業が悪意を持って中小企業を買収する」といった感じで、M&Aにネガティブな印象を抱いている方も、まだまだ多い気がします。けれど、本当はそうではなくて、M&Aというのはもっと人間味のあるものだと思うんです。実際に、売り手と買い手の間で「これから会社をどうしていきたいのか」という想いが一致しなければ、いくら金銭面で折り合いがついたとしても、M&Aは成立しないんですよね。
 

高田

高村:だからこそ、私たちは論理的にも感情的にも、しっかりと売り手と買い手の両方に寄り添っていなかければならない。そこは、この仕事の難しさでもあり、やりがいでもあると思いますね。それと私自身は、M&Aが産業全体に与えるインパクトに気付けたことも大きな収穫です。これから少子高齢化が進み、人口も減少していくなかで、日本企業がグローバルに生き残っていくためには、業界全体が一丸とならなくてはなりません。そのための業界再編の手法としてM&Aを位置づけるという考え方は、出向以前の私には思いもよらないもので、目からウロコでした。

中村:本当ですね。後は、少し話が逸れるかもしれませんが、出向し他社の文化をより俯瞰してみることで、ソウルドアウトのことも客観的にみることができました。

高田:同感です。ちょうどこの前、久しぶりに全社会議に参加したら、みんなが新しくつくったカシカTシャツの話題で盛り上がっていて。この温かい雰囲気がソウルドアウトの魅力だよな、と感じました。

社内全体を巻き込みながら、ソウルドアウトならではのM&A事業を

――一年後にはソウルドアウト内にもM&A事業部の立ち上げが計画されています。事業化にむけて、これからどんな取り組みが必要になっていくでしょうか?

中村:ソウルドアウトの強みを生かした、M&Aの仕組みづくりが必要だと思いますね。日本M&Aセンターさんのやり方をそのまま真似しただけでは、既に強固なネットワークを築いている競合企業に勝ち目はありません。コンテンツやメディアといったソウルドアウトの得意領域と、M&A事業をうまく組み合わせていくことが大切だと考えています。

高村:ソウルドアウト社内での意識改革も必要ですよね。一人ひとりの社員が「M&Aによって御社にこんな未来がありますよ」と、クライアントに対して熱意を持って説明できるようにならなければ、事業化しても決して上手くいかないと思います。そのために、まずは執行役員クラスもしっかり巻き込みながら、M&Aに対する理解を深めていかなければならない。既に何度か勉強会を開催していますが、今後も積極的に情報共有を進めていきたいですね。

高田:M&Aという手法がソウルドアウトのなかで当たり前のものになれば、「地方、中小・ベンチャー企業を支援する」というミッションの実行性も、さらに高まりますよね。これまでデジタルマーケティングの力だけでは支援しきれなかった、より小規模な企業にとっても、M&Aは有効な打ち手の一つになるはずです。Web広告やSOカシカのようなITツールを提案するのと同じくらいの感覚で、M&Aを提案できるようになれば理想的だと思います。

中村:そのためには、まずは僕たちが日本M&Aセンターでしっかりと実績を上げないとね。

高村:残り10カ月のなかで、まずは一件でもM&Aを成立させたいですよね。

高田:本当ですね。日本M&Aセンターに入社された方が、一件目のM&Aを成立させるまでにちょうど平均で10カ月ほどかかるそうですから、僕たちも何とか結果を残したいですね。これからもがんばっていきます!
 

パンくず

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