社内調査委員会の調査結果と今後の対応に関するお知らせ

2021.04.07

 2021年3月31日付プレスリリース「略式起訴及び不起訴処分に関するお知らせ」に記載のとおり、2020年8月に、外部の有識者を含む「医薬品医療機器等法違反事件社内調査委員会」(以下「社内調査委員会」といいます)を組成し、これまで事実関係及び原因分析の調査を行ってまいりました。本日、社内調査委員会より、調査報告書を受領いたしましたので、その概要版につき添付のとおり公表いたします。

1.社内調査委員会の調査結果
(1)社内調査委員会の構成

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(2)社内調査委員会の調査結果の概要
社内調査委員会の調査結果につきましては、添付1の「調査報告書(概要版)」をご覧ください。
なお、調査報告書については、個人のプライバシー及び取引先様の営業秘密の保護等の観点から、匿名での表記にしております。


2.今後の対応について
(1)再発防止策の策定
再発防止策につきましては、添付2の「再発防止策(骨子)」をご覧下さい。

(2)関係者の処分等について
経営責任の明確化のため、当社役員5名(代表取締役、取締役及びグループ執行役員)は、報酬の一部につき自主返納することといたしました。
また、本件に関与した従業員につきましては、当社社内規程に則り、厳正な処分を行いました。

以上

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※添付1

調査報告書(概要版)

ソウルドアウト株式会社
医薬品医療機器等法違反事件社内調査委員会

第1.調査概要
・当委員会(社外の大学教授、弁護士を含む。)は、次の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)違反事件につき、2020年8月18日(水)から2021年3月29日(月)にかけて、関係資料の精査、関係者ヒアリング等の方法により、事実関係の調査及び原因検討を行った。
 ・2019年8月から9月にかけて、当社福岡営業所担当者Aは、健康食品事業者Xの依頼を受けて、健康食品のLP記事(以下「本広告」という。)を広告制作会社Yに作成させ、各種ウェブメディア(以下「広告媒体」という。)を通じて配信した。
 ・本広告は、いわゆる健康食品につき脂肪肝改善効果等の疾病治療等の効果を明示又は暗示する点において、医薬品医療機器等法68条に違反する内容であった。

第2.事実調査の結果
・健康食品事業者Xから健康食品のLP記事配信の依頼を受けた当社担当者Aは、広告制作会社Yの担当者Bにその制作を依頼した。当社担当者Aは、医薬品医療機器等法に基づく広告規制(以下「薬事広告規制」という。)に係る一定の知識はあったが、その適否判断を、広告媒体に配信を依頼する際の広告媒体における審査(以下「媒体審査」という。)に委ねていた。そのため、できるだけ訴求力の高い内容で媒体審査を通過させたいという考え方のもとで、Y社担当者Bが作成した本広告につき、適宜、各広告媒体の媒体審査にかけて、これに合格した場合にはその内容で配信し、不合格となった場合には指摘された問題点を修正するなどのプロセスを経て、各広告媒体を通じて配信していた。その結果、本広告は客観的には薬事広告規制に違反する内容であったが、「媒体審査を経た以上は問題がない」という理解の下で、配信されるに至っていた。
・なお、当社では、各担当者の担当する広告内容につき、上司による確認や法令審査部門による審査等のチェック体制は存在せず、原則として各担当者に一任されていた。本広告も、当社担当者Aに一任され、上長等による社内チェックを受けることはなかった。上司は本広告の内容を把握しておらず、当社担当者Aが本広告の配信に至った背景について、特段、上司や売上ノルマ等によるプレッシャー等の事情も見受けられなかった。

第3.原因検討の結果
1.健康食品に係る広告業界の実情(背景)
・健康食品の広告に関しては、医薬品医療機器等法上の適法・違法の線引きが一義的に明確ではなく、いわゆる「グレーゾーン」が生じやすい。そのため、広告事業者においては、違法又はその疑いのある内容の広告=訴求力が高い広告を展開している他の競争事業者が存在する以上、一律にグレーゾーンを保守的に解釈した広告=訴求力の低い広告を展開するのみでは、市場競争力を維持し難いという実情がある。違法広告配信が正当化されるものではないが、後記2乃至4において指摘する誤った実務慣行や不十分な管理体制の背景には、こうした実情が存在したものと考えられる。
2.薬事広告規制の適否判断を媒体審査に依拠する運用の存在
・当社では、健康食品の広告につき、薬事広告規制の適否判断を、広告媒体の媒体審査に依拠する実務慣行が存在した。しかし、広告内容の適法性は本来広告媒体ではなく広告主体である広告主や当社が責任をもって管理すべきものであり、かつ、媒体審査に通れば適法であるといえるものではない以上、当該実務慣行は、当社における広告の適法性確保に係る責任を放棄するに等しく、結果として違法な広告配信に繋がる危険性を有している。実際に、当社担当者Aも、客観的には違法な本広告を、媒体審査が通過したことから問題ないと考え配信していたものであり、こうした媒体審査に依拠する当社の実務慣行が、違法な本広告配信が生じた原因となっていたものと認められる。
3.広告内容の社内チェック体制の不存在
・当社には、配信される広告内容につき上長の確認や法令審査部門による審査等の社内チェック体制が存在せず、原則として担当者に一任されていたため、本広告も、こうした社内チェックを受けることなく入稿、配信されていたが、適切な社内チェック体制が構築されていれば本広告の配信は防げていた可能性がある。そのため、こうした社内チェック体制の不存在も、違法な本広告配信が生じた原因の一つと認められる。
・なお、この点に関連して、当社には、各従業員が任意で利用できる薬事広告規制等のチェックシートや、社内外の薬事広告規制に係る相談窓口が存在した。しかし、あくまで任意であり、前記2の媒体審査に通れば良いという実務慣行のもとでは、従業員にこれらを積極的に利用する動機が強く醸成されるとは考え難く、実際に、本件担当者Aも、本広告に関して当該チェックシートや相談窓口を利用していなかった。
4.社内教育の不徹底
・当社では、外部専門家等による薬事広告規制に関する研修や定期的な相談会などの社内教育を実施していた。当社担当者Aも一定程度は当該研修等に参加し、薬事広告規制に係る一定の知識を有していた。
・しかし、前記2の媒体審査に通れば良いという考え方は誤りであり、「たとえ媒体審査に通過しても、違法とされる場合がある。」という正しい考え方について教育を徹底していれば、本広告の配信は防止できていた可能性がある。こうした点等において当社の薬事広告規制に係る社内教育は不徹底・不十分なものであり、当該事情も、違法な本広告配信が生じた原因の一つということができる。

以上

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※添付2

再発防止策(骨子)

ソウルドアウト株式会社
代表取締役会長 荻原 猛

 社内調査委員会による調査報告書によれば、本件の原因検討の結果として、以下の4点が挙げられています。
①健康食品に係る広告業界の実情(背景)
②薬事広告規制の適否判断を媒体審査に依拠する運用の存在
③広告内容の社内チェック体制の不存在
④社内教育の不徹底
 これらの原因を踏まえ、再発防止を行う施策として、既に本件発覚後に対策を講じているものを含め、最終的な再発防止策の骨子として下記を定めることとしました。

■再発防止策(骨子)
※下記文中の「別紙」は、本年3月に当社としてホームページ上に公開済の「法令遵守のための取り組みについて」を指します。
https://www.sold-out.co.jp/sites/default/files/202103houreijyunshu.pdf

【審査部門の新たな設置】
まず、社内調査委員会による調査報告書の原因②「薬事広告規制の適否判断を媒体審査に依拠する運用の存在」及び原因③「広告内容の社内チェック体制の不存在」を踏まえ、「媒体審査に通れば広告表現として問題ない」という審査可否を媒体に依拠する実務慣行を根絶し、広告会社の当然の責務である広告内容の適法性を自ら厳格に管理する社内チェック体制を文化と仕組みとして定着させることを目的として、2020年9月に審査部門を新たに設立しております。【別紙P.5 中立性を保ち、公正な審査を行うための組織体制】

【審査部門の性格】
調査報告書の原因①にある通り、健康食品に係る広告業界の実情から発生しうる「グレーゾーン」を一定程度緩やかに解釈した内容の広告(いわゆる「攻めた」広告)を制作・運用する動機等が内在的に存在することは否定出来ないものと考えます。そのため、広告の社内チェックにおいては、こうした動機と完全に切り離された審査体制が必要であることから、審査本部を、売上を目標指標とする営業本部から分離させた独立部門として設置しました。また、社外の専門企業の監修により作成した薬機法関連法及び自主基準を定めたガイドライン【別紙P.10 分野ごとに分けた5冊の社内ガイドラインを作成し全社展開】に基づいて審査する体制としました。更に、審査部門が公正な審査を実施し、正常に機能しているかの監査を、別部署である法務ガバナンスチーム(審査ポリシー管掌)が定期的に実施しております。【別紙P.5】

【審査部門の運用実績】
審査本部の設置以後、美容健康に関わる全ての納品物、および入稿する全ての広告について、審査本部が設定した審査フォームから審査依頼に提示することを全社ルールとし【別紙P.6 「社内審査を通過した広告のみ入稿」の徹底】、取引開始前には取引先企業の審査、および扱う商材を審査部門に提示し、審査を通過した企業・商材のみを担当できるルールを設けております。【別紙P.12 取引前の企業審査・商材審査の実施】
更に、審査本部が定めたルールを全従業員が順守し、また審査本部が中立性を保つ業務の領域から逸脱することがないよう牽制を効かせる規則として、広告審査規程を2020年10月15日に制定施行しております。【別紙P.7 懲戒規程を盛り込んだ広告審査規程の施行】
 加えて、再発防止策の一環として、「媒体審査に通過すればOKではない」という認識を問う設問を設置し、前述の審査依頼フォームにもその認識を確認するチェック項目を設け【別紙P.4 審査フォームの設問13】、こうした認識が定着し、時間とともに廃れないよう毎度確認を求めるものとしております。

【社内教育の徹底】
社内調査委員会の報告書に記載の原因④「社内教育の不徹底」を早期に改善するため、化粧品等(医薬部外品・医薬品含む)、健康食品、機能性表示食品、雑貨(美容・健康)、エステの5分野について、審査部門にて社内テストを作成しております。事業側従業員に合格するまでの受験(再受験可)を義務付けて取り組んでまいりました。2020年12月末までに208名が合格するに至っており、また、現在では、新入・中途社員研修においても合格を義務付けております。

 以上の再発防止策において、原因とされた②乃至④については、社外の協力も得ながら、今日までに体制の構築が完了し、再発防止策として日々実行がなされる体制に至っておりますが、今後とも、本再発防止策が揺るぎなく持続するように、継続した改善を図って参ります。

 なお、原因①については、当社単独で一朝一夕に変えることは難しいものの、今回の件で学んだこと、及び具体的な再発防止策について、各媒体や業界団体に積極的に働きかけを行い、ガイドラインの策定など広告業界全体の健全な発展の為に微力ながら尽力する所存であります。

以上
 

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