―最初に、atama plusの事業について教えてください。
私たちは全国の学習塾・予備校にSaaSモデルでAI教材「atama+」を提供しています。このAI を活用したラーニングシステムは、生徒一人ひとりの得意、苦手、伸び、つまずき、集中状態、各単元の忘却度などの膨大なデータを収集・分析し、一人ひとりにカスタマイズした「自分専用レッスン」を自動的に作成・提供します。
日本の教育の多くは、教科書の順番通りに学び、一度学べば、各単元の理解が不十分なままでも次に進んでしまいます。
atama+を使った学習では、ある単元を勉強する時、まずその単元の理解に必要な内容のうち、生徒がどこでつまずいているかを診断。診断結果をもとに、単元ごとの理解度に応じて、講義、練習問題、演習、復習など最適なカリキュラムをAIが作成・提供します。つまずいている別の単元まで遡って学習し、基本的な概念を完全に理解してから次に進むため、結果的に最短での学習ができます。
atama+を使った授業を受けた生徒からは「短時間で自分の弱点を見つけられた」「やり始めるととまらなくなる」などの声が聞かれ、約2週間で数学I・Aの大学入試センター模試の得点が約1.5倍にアップしたという成果も出ています。
このようにAIを使って生徒一人ひとりにあったカリキュラムを提供している一方で、私たちは生徒のモチベーションや学習方法を支援する人の力もとても大切だと考えています。
これまでの教育では、講師が一人ひとりのペースに合わせたきめ細かな学習を提供することに限界がありましたが、教育のパーソナライズはAIの得意分野です。一方で、AIが生徒に声かけをして、生徒をはげます、応援するなどのコミュニケーションをとることはできません。
そこで、私たちは双方の強みを活かして、AIが「ティーチング」を担い、人間の講師が「コーチング」を担う授業スタイルを「AI個別」として提案しています。
AI個別では、講師1人で生徒10~20人を担当し、生徒はatama+を使って勉強を進めます。担当する生徒の学年も学習科目や単元もバラバラです。講師はタブレット上の講師専用アプリ「atama+ COACH」で生徒の学習状況をリアルタイムに把握し、生徒の状況に応じて、声掛けをしたり、つまずいている単元についての理解をサポートしたりします。
AIと人の融合による新しい授業のかたちは、駿台予備学校、城南予備校DUO、栄光の個別ビザビなど全国の塾・予備校1,700教室以上で広がっています。