プロダクト開発の裏側を語る。意思決定、組織体制、コミュニケーションの秘訣とは。SO Technologies PO座談会

仲間・文化
2023.11.29
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「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」を掲げ、全国の広告会社を支援しているSO Technologiesは、さまざまなプロダクトの開発・運用をおこなっています。今回は、SO Technologiesが提供する3つのプロダクトのPO(プロダクトオーナー)である七五三輝俊さん(AG-Boost)、光山誠一さん(ライクル)、小芝翔太さん(ATOM)による座談会を開催。プロダクト開発で心がけていることについて語ってもらいました。
 

小芝 翔太(こしば しょうた)
ソフトウエアカンパニー ATOM事業本部 VP
七五三 輝俊(しめ てるとし)
ソフトウエアカンパニー AG-Boost事業本部 VP
光山 誠一(みつやま せいいち)
ソフトウエアカンパニー ライクル事業本部 VP

利用継続期間、MAUが重要指標

──まずは、皆さんがそれぞれPOを務めているプロダクトについて教えてください。

小芝広告会社支援SaaS「ATOM」のPOを務めています。広告レポーティングツールとして業界シェアNo.1(※1)で、累計600社以上の企業に導入いただいています。

七五三:「AG-Boost」というネット広告仕入・提案・運用を支援するサービスのPOを担当しています。広告会社のネット広告事業の拡大を支援しており、提案・運用業務に活用できる無料ツールを提供しています。ツールの利用企業は1,300社以上、エリアは47都道府県に広がっています(※2)。

光山:店舗集客支援サービス「ライクル」のPOを務めています。多店舗展開している企業がGoogleビジネスプロフィールを一括管理できるサービスで、累計80,000店舗以上(※3)に利用されています。

※1 2021年8月時点 公式サービスページより
※2 2023年9月時点  公式サービスページより
※3 2023年7月時点、累計 公式サービスページより

──プロダクト開発を進めるなかで、重視している指標を教えてください。

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小芝(ATOM):ATOMの場合は、ユーザーの継続期間です。SaaSである都合上、長く使っていただくほどに収益も伸びるため、継続期間を一つの指標にしています。

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七五三(AG-Boost):AG-Boostの場合、直近はMAU(Monthly Active Users)を重視しています。そのため、ユーザー目線の開発を進めることはもちろん、ツールのアップデート状況をマメに連絡するといった、ユーザーへのコミュニケーションにも気を配っています。

光山(ライクル):ライクルもATOMと同じように、継続期間を重視しています。とくに意識しているのは、ユーザーに使ってもらえる機能を実装することです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、プロダクト開発の領域では、コストをかけてつくった機能が全然使ってもらえない、なんてことはざらにあります。「目指す方向性とマッチしているから」「競合が出しているから」といった理由で安易につくらないよう、気をつけています。

小芝(ATOM):リリースした機能が使われないことは、あるあるですよね。当然売り上げにつながらない、開発メンバーのモチベーションも下がる、と悪いことしかありません...。

七五三(AG-Boost):AG-Boostの場合、無料提供ツールとチーム内で利用するツールの機能開発となるため、有料ツールよりは失敗のリスクが抑えられます。なので、ユーザーに利用されそうな機能や要望のある機能はつくってしまうこともあります。どんな機能も実装まで、当たるかどうかわからないので、MVP開発(※4)が前提ではありますが、チャレンジングな機能のリリースも積極的におこなうようにしています。

※4 MVP開発:MVPはMinimum Viable Productの略。必要最低限の価値を提供できるプロダクトを作成し、ユーザーのニーズを検証しながら少しずつ製品・サービスの開発を行う手法のこと。

❚ ポイントまとめ:重視している指標は?
ATOM:ユーザーの継続期間
AG-Boost:MAU(Monthly Active Users)
ライクル:ユーザーの継続期間 +ユーザーに利用される機能の開発

ユーザーから使ってもらえる機能実装のため、開発の仕組み、体制を整える

──「ユーザーから使ってもらえる機能」を開発するために意識していることを教えてください。

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小芝(ATOM)ユーザーの環境やニーズの変化を迅速に把握して、開発に反映させることです。具体的には3つのことを実践しています。

まず1つ目は、プロダクトの目的の明確化です。プロダクト開発の現場では、日々ユーザーからたくさんのニーズが上がってきます。目的が明確でないと意思決定が非常に困難になります。スピーディーで質の高い開発を実行するには、判断基準を明確にしておくことはとても重要です。

2つ目は、機能の早期拡張と縮小が可能な開発環境づくりです。とくに現在の広告業界は急速に変化をしていて、今求められているものが数年後に不要になる、なんてこともよくあります。そんな流れに対応し、高速でツールの更新をし続けるために、常にシステムの見直しをおこなっています。

3つ目は、各機能利用状況の可視化です。今手がけている機能がどれほどインパクトのある開発なのかを予想するには、利用状況を数字で把握してファクトベースで判断をする必要があります。現段階で完璧にできているわけではないので、これからとくに力を入れ、見える化の環境を整えたいです。

光山(ライクル):3つともとてもよくわかります。

加えてライクルの場合は、本格的な開発に入る前に、一度人の手で再現するプロセスを組み込むようにしています。最初はなるべく開発コストをかけずにつくり、使ってもらえる機能かどうかを確認しながら徐々に実装していくイメージです。

七五三(AG-Boost):我々の場合は若干アプローチが異なり、企画の段階でユーザーストーリーを細かくつくっています。ユーザーが「どんなとき」「どのように」ツールを使うのかを具体的に想定しておくことで、リリース後にズレを把握しやすく、スムーズな修正が可能です。社内ツールはユーザーがメンバーになるため、メンバーへの徹底的なヒアリングも実施しています。

光山(ライクル):顧客接点を強めることも意識しているポイントです。過去に機能追加のためにユーザーヒアリングをしようと動いていたとき、なかなかアポイントが取れず調整だけで数ヶ月かかってしまったことがあります。そんな失敗を踏まえ、ライクルではユーザーとの定期的な接点を持ち続け、フィードバックをもらいやすい距離感を保つようにしています。この顧客接点を担う職種のメンバーに、開発を意識した情報収集やチーム内共有を意識してもらうことで、チーム全体で開発に向き合うことができています。

❚ ポイントまとめ:「ユーザーから使ってもらえる機能」を開発するためには?
ATOM:ユーザーの環境やニーズの変化を迅速に把握して開発に反映させる
AG-Boost:ユーザーが「どんなとき」「どのように」ツールを使うのかストーリーを細かく想定する
ライクル:初期の開発コストを抑えつつ、機能が使われるか確認しながら段階的に実装する

目の前の課題だけでなく、その奥にある問題・原因まで考える

──開発において、エンジニアや営業とのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?

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光山(ライクル)それぞれの役割を分けすぎず、越境の余地を残すことです。

これも過去の反省から学んだことですが、組織規模が拡大してPM(プロダクトマネージャー)が複数名に増えたとき「PMが御用聞きになる」という現象が起こってしまったことがあります。営業とエンジニアがとりあえずPMに課題感を伝え、PMはただ上がってきたものを取りまとめる、という状態です。

問題は各メンバーの能動性が失われてしまったことです。営業はただ現場の課題をPMに伝えるだけで、エンジニアはPMが要件を固めてくれるまで動きません。互いに手を出さない空白地帯が両者の間にできてしまい、プロダクトの開発スピードが上がりませんでした。

今は「小さい塊にして横断のチームにする」という編成を心がけています。特定の機能をリリースすると決まった段階で、PM、エンジニア、営業、CS(カスタマーサクセス)が集まる小さなチームをつくり、それぞれが横断的に会話をしながらスピーディーに進めていける体制を組んでいます。

小芝(ATOM):私がコミュニケーションにおいて気をつけているのは、チームメンバーが上げてくる現場の課題を聞いて、すぐに方法論の話に入らないことです。​​

特定のユーザーの要望に応える機能をつくることは簡単です。ただし、先程の話に通じますが、つくった機能が他のユーザーにも使ってもらえるとは限りません。より多くのユーザーに長く使ってもらうには「問題は何か」「なぜその問題が起こっているのか」などファクトの特定が必要です。そのうえで問題解決の優先順位を判断し、ようやく方法論を考えるフェーズに入ります。

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七五三(AG-Boost):AG-Boostの場合、他職種とエンジニアとのコミュニケーションは比較的スムーズです。エンジニアチームを取りまとめてくれている部長のおかげだと思います。また、意思疎通の得意なエンジニアが集まっていることも大きいです。ただ、小芝さんがおっしゃった通り、プロダクトの目的を明確化することは意識しています。「誰のための」「何のための」といった上位概念が共通していると、良いプロダクトをつくりやすいと思っています。

営業に対するコミュニケーションでも、基本的にはお2人と同じことに気をつけていますが、AG-Boostの場合は一部のCS的な業務までPMが担っているので、他のプロダクトのチームと比べると特殊かもしれません。ユーザーにツールの使い方をハンズオンでお伝えするところまでを業務に組み込み、それに伴って仕組みづくりやマニュアルづくりをしています。

──プロダクト開発を進める上で、チームメンバーにどういったアクション・提案をしてもらえると助かりますか?

小芝(ATOM):先ほどの話と通じますが、ユーザーからの要望に対していきなりHowを考えるのではなく、まず問題とその原因をファクトでつかむことを意識してもらえると、よりスムーズに進められるのかなと思っています。

光山(ライクル):同感です。課題だけ教えてもらうことは、それはそれでもちろんありがたいのですが、ビジネスの全体感を把握した上で「こうするともっと良くなると思います」といった提案をしてもらえるととてもありがたいです。

七五三(AG-Boost):私も、チームメンバーにはプロダクトの目的に沿った深掘りをしてもらえると良いのかなと思っています。とくにエンジニアには、ただの作り手にはなってほしくないと思っています。ユーザーの思考を読み解く一段深い思考ができるようになると、目の前の仕事ができるようになるだけでなく、人材としての価値も高まると思います。

❚ ポイントまとめ:開発におけるコミュニケーションで気を付けていることは?
ATOM:すぐに方法論の話に入らずまず問題とその原因をファクトでつかむ
AG-Boost:「誰のための」「何のための」プロダクトか、上位概念を共通認識として持つ
ライクル:それぞれの役割を分けすぎず、小さい横断チームを作るなど越境の余地を残す

「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」に直結するプロダクトを開発する

──プロダクトが目指す姿、展望について教えてください。

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小芝(ATOM)プロダクトのビジョンを実現させる、ということにつきます。広告会社に勤める方々はノンコア業務に時間を割き過ぎていて、売上創出のための時間が持てなくなっているという課題があります。ATOMを活用してコア業務に集中できる体制を整えてほしいと思っています。

七五三(AG-Boost):同じく、AG-Boostの目指す先はネット広告市場の拡大です。今後も、広告会社を介して全国すみずみまで(ネット広告の)活用を広げていくための機能開発を進めていきます。とくにSMB領域や地方企業の底上げができるのは、ソウルドアウトグループしかいないと思っています。その実現の一助となれるサービスをつくっていきたいです。

光山(ライクル):ユーザーと店舗との出会いを創出するプロダクトとして、お店の魅力を引き出し、ユーザーがわくわくする検索体験を生み出していくご支援をしていきます。そして、SO Technologiesとして掲げる「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」に直結したプロダクトを開発し続けたいと思っています。とくにライクルのユーザーにはデジタル集客をしたくても体制がない、リテラシーがないという店舗が多いです。そんな方々に価値提供をし、選ばれ続けるプロダクトでありたいと思っています。

そのためには、プロダクトの機能開発だけでは難しいと考えています。プロダクトの活用自体が難しい店舗に対しては「人」のサポートも必要です。プロダクトと人の価値を組み合わせて、最新のテクノロジーを取り入れながらサービスを展開していきたいです。

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パンくず

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