安全に生成AIを活用できる環境をつくり、業務効率化&提供価値向上を後押し。Generation AI growthプロジェクト

仲間・文化
2024.09.19
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世間を賑わせた生成AIの登場。上手く活用すれば業務効率や提供価値を向上できる生成AIですが、まだ触ったことがない、業務には使ったことがないという方もいるのではないでしょうか。パソコンやスマホを当たり前に仕事に使うようになったことと同じく、生成AIの活用も当たり前のことになるでしょう。そこで今回は、ソウルドアウトグループで立ち上がったGeneration AI growthプロジェクトのリーダーである菊地 秀敏さん(COO管掌)岡本 芳樹さん(コーポレートディビジョン)岡村 悠久さん(DXカンパニー)國末 拓実さん(マーケティングカンパニー)に、ソウルドアウトグループの生成AIへの向き合い方、プロジェクトについて語ってもらいました。

※所属・役職・体制・取組事項などは2024年9月時点のものとなります。

Generation AI growthプロジェクト立ち上げの舞台裏

──プロジェクトを立ち上げた経緯についてお聞かせください。

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菊地:今年4月から生成AIをグループ全体に推進する役目を担うことになり、ほぼ同時にこのプロジェクトを役員の皆様へ提案しました。

背景として、これまでソウルドアウトグループで行われてきた生成AI活用の取り組みがカンパニー単位のものでしかなかったという事情があります。生成AIが世間を賑わせるようになった昨年ごろから、社内でも生成AIを活用する動きが出始め、申請すればChatGPTの有料版を使えるといったルールなどは元々すぐに整備されていました。

ただ、それはあくまでも現場レベルでの話であり、カンパニー毎の生成AIへの関心度によって利用状況や開発状況に差がある状態だったんです。取り組んでいる組織間でも特に情報共有がされていなかったため、カンパニー横断的なプロジェクトとすることで、より効率的かつスピーディーに生成AIの利活用を促進させられるだろうと考えました。

「生成AIを使わないで仕事をする」世界観は、これから間違いなくなくなるでしょう。どのような仕事であれ、生成AIを使うワークスタイルは一般化していくと思っています。そのため、最低限使いこなせる知識やスキルを身に付けていただけるよう尽力するのが我々の役目です。

普及度100%を目指せ──生成AI普及分科会

──分科会の目的と役割を教えてください。

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國末「普及」の名の通り、皆さんに生成AIを当たり前のものとして使ってもらうことを目的とした分科会で、そのために勉強会を開いています。押し売りになるのは避けたいんですよね。「使うとこんなに便利になるんだな」とポジティブな気持ちになってもらいたいと考えています。

──これまでの活動内容をご紹介ください。

國末:2023年4月にChatGPT4が出たころから、個人的に生成AIの使い方を発信してきました。今年3月には提案書の作成プロジェクトを実施し、工数の20%削減を実現。そのタイミングで普及分科会の話をいただき、今は分科会として発信活動をしています。

最初は、目的とリーダーだけが決まっている状態だったため、まずは分科会メンバーやテストしていく生成AIツールの選定を行いました。現在は15名のメンバーに私と菊地さんを加えた17名で活動しています。並行して、マーケティングカンパニーだけでの活動にはなりますが、生成AIの啓蒙活動も行っており、地道に種まきをしているという状況です。

──現状の成果と今後の展開についてお聞かせください。

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國末:6月に生成AIの活用状況を社内で調べたところ、週に1回以上使っている人が62%、毎日使っていると答えた人が26%と、4分の1の人がほぼ毎日使っているという結果が出ました。この状況から普及活動を本格始動できるのは、かなりいいことなのではないかと思います。分科会発足前から「ちょっと教えて」という声に応えて個人活動をしてきたので、それが影響しての普及度なのであれば嬉しいです。ここから100%を目指してやっていきたいというのが1年目の目標ですね。

現状は生成AIを使うことが目的になってしまっている部分があると感じているのですが、生成AIを使うのはあくまでも手段です。生成AIを使いこなすことで新しい案や発想が生まれてくるはずだと信じているので、普及後はユースケースづくり、業務効率化の実現、開発分科会と連携してのプロダクト開発につなげていきたいと思っています。2年目は「普及分科会」という名前から卒業し、業務効率化や価値創出など、名前を変えて攻めに転じたいですね。

売れる・使われるツール開発を──生成AI開発分科会

──生成AI開発分科会の目的と役割を教えてください。

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岡村テクノロジー領域の情報連携が基本の役割です。あと、経営層が寄せる生成AIへの無尽蔵な期待(笑)と、エンジニアたちが実際にできること、やりたいこととのギャップをすり合わせてフィットさせることも個人的な目標としています。

──これまでの活動内容をご紹介ください。

岡村:2022年の末にChatGPT3.5が出たときから、社内でいろいろな人に触ってもらい始め、2023年夏ぐらいに組み込みツールを作り始めました。2023年初夏には博報堂DYグループ全体の生成AIの寄り合い横断グループ(現在の博報堂DYグループ Human Centered AI Institute)のようなものができていまして、ソウルドアウトグループ各社のCTOや開発責任者が参加しており、今も取り組みを続けています。

開発分科会のメンバーは、同じく各社のCTOや開発責任者の4名と、コーポレートの1名を加えた5名です。当初は各社が指定したメンバーでスタートしたのですが、博報堂DYグループの取り組みと重複する部分が出てきたので、最終的に同じ座組に落ち着きました。

──現状の成果と今後の展開についてお聞かせください。

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岡村:成果は情報と体制の整理ができたことですね。プロジェクトが立ち上がって起きたことが2つあると思っていまして、1つは経営者層が考えていた「グループ全体でやろう、ツールを集約しよう」という流れから、各社で最適なものを使っていこうという流れになったこと。菊地さんの話にもあったように、会社によって最適なものが違うので、集約してしまうと不都合が起こるところが出てきてしまうため、無理に集約すべきではないと整理しました。

もう1つは、開発に関する認識ギャップの是正です。例えばSlackとOpenAI API(ChatGPT等)の連携は、知らない人から見るとプロダクト開発だと思われがちなのですが、エンジニアからするとExcelにマクロを入れるぐらいの感覚でできるものと、認識にズレがあるんですよね。数十分、数時間の作業だからやらせてほしいというエンジニア側の捉え方と経営者側のギャップも埋められたのではないかと思っています。

今後は、あらためて各社のCTOや開発責任者同士で現状を話す場ができたため、情報連携をして自社で開発しているものを発表する動きを取っていきたいと思っています。KPIとしてツール数を置いてはいるんですが、売れないものを作るばかりではしょうがないので、ただ数を達成するのではなく、使われるものを作りたいです。

実務で安全に使える環境を整備──生成AI安全分科会

──生成AI安全分科会の目的と役割を教えてください。

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岡本:生成AIは便利ですが、再学習や外部への情報漏洩リスクもあります。著作権に関するリスクもあり、得意先から依頼されたものを生成AIで作った場合、既存の著作物を勝手に使ってしまうおそれがある。

博報堂DYグループの一員として、生成AIの使い方に対する考え方の方向性を合わせること、グループ内で比較的活用が進んでいる立場として突き抜けたことを考えていくことも必要です。

「危険やリスクがあるから使わない」ではなく、これらを正しく認識して安全に使える環境づくりをすべきであり、國末さんが普及を進める傍ら、安全に使ってもらえるようにどうするかを考えるのが我々の役目です。

──これまでの活動内容をご紹介ください。

岡本:私は昨年、有償プランの利用制度を活用してChatGPTを使い始めました。仕事内容的に情報収集に使うことが多く、収集や整理で便利に使えるという印象を受けましたね。

分科会は、「こういうときにこう使うのは大丈夫なのか」という疑問から解決方針を考えることからスタートしました。経済産業省や博報堂グループのガイドラインや同業他社が公開している方針も参考にしながら、ソウルドアウトグループの生成AIへの向き合い方をメンバーと検討しています。メンバーは全社から募り、今は12名ほどです。メンバーを募る際は、生成AIをクリエイティブで使ったことのある人を加えたいと菊地さんにお願いしました。実務を無視したルールを決めても意味がありませんから。管理系からは社内ルール作りに長けている人にも加わってもらっています。

──現状の成果と今後の展開についてお聞かせください。
img岡本:1度決めたガイドラインやポリシーは、そのまま10年使えるわけではありません。今年は仕組み作りに取り組み、来年以降は運用とメンテナスに取り組んでいくつもりです。会社やメンバーにとって使いやすく、かつリスクには配慮できているというバランスを上手く取れた状態にもっていけたらと思っています。

グループ全体で生成AIの利活用を進めたい

──あらためて、今後の社内での生成AIの可能性、プロジェクトの今後についてお聞かせください。

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菊地:以前からカンパニー各社で動きはあったものの、プロジェクトとして動き始めてからはまだ日が浅く、目立った成果が出ているわけではありません。ただ、すでに良かったなと思っているのは、プロジェクト化したことで、各社が似た取り組みをやっていることが可視化されたこと。組織を横断して情報共有や技術的な相談が可能となり、いい流れが生まれていると感じますね。週に1回は分科会の活動状況を共有し、普及面、安全面、開発面でどうしていくべきか、といった議論を行っています。

現状はツール選定やセキュリティチェックが終わり、第一弾のテストがこれからといった状況です。便利そうなものを試し、リスクや実際の使用感を確認しながら進めていきたいと思っています。生成AIツールの知見を高め、得られた知見をサービスやプロダクトに組み込みながらブラッシュアップしていくことで、生産性や提供サービスの価値向上につなげていきたいです。

皆さんの求めるスピード感にはまだ応えられていないかもしれませんが、全速力で環境づくりを進めていますので、ぜひご期待ください。社員の皆さんには、まずはどんどん生成AIを触ってみてほしいです。我々プロジェクトメンバーだけでは限界がありますので、前向きにご協力いただき、生成AIの利活用を共に進めていけたらと願っています。

img左から菊地 秀敏さん、岡本 芳樹さん、岡村 悠久さん、國末 拓実さん

※所属・役職・体制・取組事項などは2024年9月時点のものとなります。

パンくず

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