「SNSをやらないこと」が企業にとってのリスク。効果的なSNS運用の秘訣とは

仲間・文化
2019.11.05
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自分の仕事に誇りを持ち、専門性を追求する。「Professional」では、各領域の専門家に迫ります。今回は、ソウルドアウトのグループ会社でSNSコンサルティングのプロフェッショナルとして活躍している、株式会社オプト ソーシャルメディア事業部部長の野口陽介さんにお話を伺います。

野口 陽介(のぐち ようすけ)
株式会社オプト ソーシャルメディア事業部部長
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野口 陽介(のぐち ようすけ)
2008年に株式会社オプトへ入社後、自動車、通信、エンタメ業界を中心に広告営業に従事。2011年通信、エンタメ、モバイルコンテンツ業界担当の営業部部長に就任。2013年よりソーシャルメディア事業部の部長に就任。現在はソーシャルメディアを用いたマーケティング戦略の立案、サービス開発業務、そしてソーシャルメディアの有用性を可視化し企業の重要なマーケティングチャネルへとステップアップさせるための支援に従事。

SNSは中小・ベンチャー企業にオススメのツール

ー野口さんの現在のお仕事を教えて下さい。

株式会社オプトでソーシャルメディアに関わるマーケティング支援をしています。ソーシャルメディアとは、ブログや動画プラットフォームなど、ユーザーが主体となってコンテンツを作っていくメディアの総称です。その中の一つがSNSで、ソーシャルメディアの中でも個人同士が繋がってコミュニケーションを取れるところが特徴ですね。

私たちは、企業の公式SNSアカウント運用のコンサルティングや、運用代行、SNSを利用したキャンペーン企画などに携わっています。

例えばソーシャルメディアに関する施策をゼロから始めるお客様には、どんなユーザーに何を発信するかのコンセプトメイキングから、必要なコンテンツは何か、それをどうやって調達するかなどを検討し、継続的に発信していける環境を整えます。すでにSNSを運用されているお客様には、フローの見直しや、より質の高い発信ができるようにコンサルティングも行なっています。
 

ー現在日本で広まっているSNSの、特徴と違いを教えて下さい。

代表的なのはTwitter、Facebook、Instagram、LINEの4つです。Twitterは、興味をきっかけに匿名で繋がれる点が特徴で、最も気軽にシェアされやすい。Facebookは、ビジネスで使われることが多いので内容もお堅め、承認欲求を満たすような投稿が多い傾向にあります。

Instagramは、自身のブランディングの為にインスタ映えを意識した入魂の投稿をする傾向がありましたが、最近は少しライトな内容が増えています。今の流行りは、プライベートな内容を24時間限定配信できる機能を使い、仲間内で楽しむような使い方ですかね。LINEは、主に身近な人とのコミュニケーションツールとして使う方がほとんどなので、他のSNSよりもクローズドな印象です。

SNSは、近年の若年層のテレビ離れやSNS利用時間の増加を受け、若年層と接点を作りたい企業に注目されるようになりました。現在はSNS世代が社会人になり、同時に中高年にも使われるようになったことで、SNSをどう活用するかが企業の大きな課題になっていると思います。
 

ー中小・ベンチャー企業がSNSを活用するメリットは何だと思いますか? 

継続的にコンテンツを発信することで、コストをかけずブランドに関する情報を伝え、ファン作りができることだと思います。

SNS登録者数は増加傾向とはいえ、全員が日常的に利用しているわけでは無いので、大衆向けのアプローチではテレビに敵いません。しかしテレビほど莫大なコストをかけることができないと考えた時、ブランディングのベース作りとして使えるのがSNSです。

ターゲティングの精度はSNSの方が高いため、そういった面でも中小・ベンチャー企業と相性が良いと思います。中小・ベンチャー企業の場合、テレビのようにマスに向けたアプローチよりも、顧客になりえる特定のユーザーに向けた発信の方が効果的だからです。

SNSの活用が上手くいっているスタートアップの企業様はよく、社長自らSNSアカウントを作って得意分野の情報を発信されています。中小・ベンチャー企業の社長さんって個性的で突き抜けている方が多いと思うんですよね。大企業に対してどう差別化を測るのか考えると、「人」が重要なのではないかと思わされます。発信を続けることで、何か情報を探す時に「面白い人がいたな」と思い出してもらえるようになる。そうやって印象に残すことが、企業のブランディングになっていくんです。

それに、自分達では当たり前の情報が、第三者から見るとものすごいノウハウだったりする。そこに気づき、強みにしてもらうのが私たちにできる支援ではないかと考えています。

拡散力のある企業のSNS運用の秘訣とは

ー中小・ベンチャー企業はどのようにSNSを活用すべきだと思いますか?

ファンづくりという観点でいうと、アイスクリームや洋菓子販売で全国展開しているシャトレーゼさんのTwitterの運用が参考になると思います。自社商品を投稿しているユーザーがいると、それを拾ってコメント付きでリツイートするんです。

シャトレーゼ※さんのアカウントは、フォロワー数も多く拡散力があります。そこで取り上げられたツイートは多くの人の目に触れて、いいねもたくさんつく。投稿したユーザーはそれがすごく嬉しいんですよ。商品を買ったらまた投稿しようというスパイラルが生まれるし、そういう人が増えることで「アイス」などのキーワードで検索した時、商品が出てきやすくなるというSNS上でのSEO効果も見込めます。

それから、飲料メーカーさんでもSNSの使い分けに成功されている例だと、若年層や女性の利用が多いInstagramにビールの内容を投稿しても反響は少ないですが、中高年が多いFacebookに投稿するとおじさま達が盛り上がるんです。

企業アカウントの中にはどのSNSにも同じ内容を投稿されているケースも多いですが、きちんと特性に沿ったコンテンツを上げないと効果は半減します。使える資源も限りがあるので、全部のSNSを網羅しなくても、届けたいターゲットに合わせて媒体を選び、アカウントを運用することが大事だと思います。

※株式会社シャトレーゼ URL:https://www.chateraise.co.jp/
 

ー全部やろうと身構えず、ターゲットに合わせて媒体を選んだ方が良いんですね。他に、SNSに取り組む際に重要なのはどんなことですか?

まずは気負わずに、楽しみながらやることです。SNSは、単体で何か特定の課題を解決できるわけではありません。でも、やらないよりは絶対にやっていたほうが良い。数千万人のSNSユーザーの中には自社に興味がある層も必ずいるはずなので、存在をアピールしないのはすごくもったいないですよね。

運用の面では、「誰のどんな課題に対してアプローチするか」をはっきりさせておくことです。企業側の目線だけで自社の商品を羅列しては、誰に何を届けたいのかよくわからなくなってしまいます。一つのアカウントごとにターゲットを設定して、統一感を持たせることが重要です。

コンサルティング時によくお話させていただくのが、「〇〇×△△=自社」になるように、コンセプトを二つ以上掛け合わせるという考え方です。例えば「料理」だけだと、関心のあるユーザーが多すぎて、どんな情報を発信するか考えるのが難しい。でも、例えば「料理×下北沢」にしたら、どんな人をターゲットにするか絞られますよね。どんな投稿をすれば喜ばれるか考えやすくなりますし、ディープな情報を発信する存在として、他のアカウントと差別化することができるのです。
 

今、SNSを活用することが大きなアドバンテージになる

ーSNS市場は今後どうなっていくと思いますか?またその中で、野口さんがやっていきたいことを教えてください。

近々5G がスタートする影響で、SNS内でも動画やリッチコンテンツが増えると思います。移動中でも動画が見やすくなり、リアル配信・ライブ配信もさらに広まるでしょう。今後はコンテンツの制作を支援するサービスなどが出てきて、制作コストはどんどん下がるはずです。今よりも手軽にコンテンツを作れるようになる時代が来るので、SNSをやらないことがリスクになると思いますね。

まだSNSをやっていない企業も多いので、今からアカウントを作って運用すればそれだけでメリットだと考えています。SNSをやっているだけで、今流行りの情報や技術がどんどん入ってくる。そういったリテラシーを持っていることが、大きなアドバンテージになるでしょう。

他には、企業の支援をするだけでなく自分たちで事業をやってみて、ノウハウを貯めたいと考えています。
例えば自分たちで商品開発から販売まで一貫して携わる中で、フォロワーの質や投稿内容による売上の変動などを分析して、企業様の支援に活かしたいと考えています。今後も常に自らが最前線に立ち、SNSの可能性を模索していきたいですね。

Private Talk

休日は二人の子どもと遊ぶことがほとんどです。市民プールに行ったりサッカー観戦に行ったりと、男の子二人なので本当に活発ですね。将来何になってほしいというのはありませんが、世の中のトレンドを掴めるようになってほしいと思います。いろんな情報を得て固定概念を取り払い、視野を広げてほしい。単純に大企業に入ればいいや、と考えるのではなく、「世の中ってこうなるだろうからこれをやった方がいい」と、自分で考えられる子になってくれたらなと思います。

パンくず