新たなバリュー「8 SOULs」が生まれるまで。~VALUE Project座談会~
ソウルドアウトの新たなバリュー(※)、「8 SOULs」。このバリューは、パーマネントメンバ-とアソシエイトメンバーに選ばれた社員35名が3か月以上かけて真剣に話し合い、ソウルドアウトが、一人ひとりの社員が、どうあるべきか、どうありたいかを議論して生まれたものです。8 SOULsが生まれた背景、そして制作プロセスを経て出てきた気づきや変化とは。パーマネントメンバーとしてプロジェクトを推進した5名にお話を伺いました。
※バリュー:会社のミッションを遂げるために必要な「価値基準」。
行動規範を、より浸透しやすい言葉に
ーはじめに、VALUE Projectが始まった背景を教えてください。
飯田:ソウルドアウトにはもともと行動規範があったんですが、社員が増えて年齢層も変わってきたことで、なかなか全員に浸透しなくなりました。そこで、改めて皆にわかりやすい形でバリューを作ることにしたんです。
荒木:このタイミングでプロジェクトが始まったのは、上場が一つの大きなきっかけだったという理解をしています。社外に向けたメッセージを統一することで、社内も意識統一される意味合いが大きかったように思います。
ーどんなプロセスでバリューを決めていきましたか。
児島:まずはプロジェクトメンバーを決めるところから始まりました。パーマネントメンバー10名が2人一組のペアを作り、全部で5チームに分かれ、チームごとにアソシエイトメンバーを5名選び、プロジェクトを進めていきました。1チーム7名のチームが5つ、合計35名のプロジェクトでした。
岩崎:話し合いでは、お題を決めてチームごとに意見を出し合い、似ている意味のものをカテゴリごとに分けました。その後全体で議論し、各カテゴリの中からフレーズを決めた感じです。
ーアソシエイトメンバーはどうやって選びましたか。
杉岡:地方勤務(経験)者、グループ会社、入社歴、男女比率など、多様性を保つためにいろいろな基準を設けて、それに合う人を決めた感じですね。
飯田:その中で、一緒に仕事をやって良かったと感じる人や、周りの評判を聞いて一緒にやってみたいと思う人を選びました。あとは意見をちゃんと言えて、吸収力や柔軟性がある人かな。いろんな方と会社や仕事への想いを話し合えたのがよかったですね。
立場が違うと受け止め方も変わる
ー議論のプロセスの中で特に大変だったのはどんなところですか。
児島:まずプロジェクト始動直後に、メンバーから「やる意味があるんだっけ」という疑問が出て、一旦ブレイクしました。腹落ちしてなかったのかもしれないですね。
岩崎:前の行動規範でいいんじゃないかっていう意見も出ましたね。好きだし、ソウルドアウトらしいし。でも思っていたほど入社年次の若い子には浸透していないというのが、若手のメンバーと話すうちに分かってきて、作り直す必要性を感じました。
児島:うん、3、4回くらい回を重ねると、やらないっていう議論はなくなりましたよね。自然とメンバー間でやりたいことや方向性が見えてきました。それから、別で進んでいたコーポレートブランディングの言葉やビジュアルの作り込みを見て、一気にエンジンがかかりました。
ー必要性を感じてからは、スムーズに進みましたか。
荒木:話し合いに前向きになってからも、議論は結構大変でした。主に行動規範の中で残した方がいいもの、なくした方がいいものを考えていきましたが、なかなかまとまらなくて。
本音で意見を言ってほしいから、好き勝手喋ってもらうスタイルで進めたんですけど、意見が分かれましたね。特に印象に残っているのは、20代の若い社員と創業当時を知っている世代の差。20代の子たちは「先義後利」に対してちょっと距離感があるという。
飯田:そう、先義後利は軍隊みたいで怖いという意見が出ましたね。命令され、やらされている感覚になっちゃうと。
荒木:業務によっても違いましたね。先義後利って言われると、営業寄りの人はみんな「利」にこだわって「粗利でしょ!」みたいな。説明する言葉が必要だと感じました。
飯田:あとは男女差もありました。特に「多様性」に関して。働き方なのか人種なのか、仕事への姿勢なのか、男女間で解釈が違って、この話し合いで1時間かかったりしました。携わる業務や見ている世界が違うから、異なって見えるんですよね。
想いは一緒でも、表現が違うだけで受け止め方が違うんです。若手まで浸透してないということがわかったので、浸透率を上げるために表現を変える必要があるなと思いました。
ソウルドアウトらしさを表現する
児島:一旦議論がまとまりかけた後に、もう1度ブレイクがありました。まとまった内容が、ソウルドアウトっぽくないという意見が現場から上がったんです。荻原さんぽくないっていうか(笑)。以前の行動規範のワードは、「鍛錬せよ」とか荻原さんが言ったとわかる言葉だったんですけど、新しく出来上がった言葉は、きれいすぎたんです。これでは息苦しい会社だよね、と。
杉岡:個性がなかったんですよね。意味合いはそのままに、そこから表現を変えました。
ー表現はどのように考えましたか。
児島:メンバーが発表した言葉を、みんなで話し合って磨いた形ですね。たとえば、8つの中で「できる理由を探す」は、言い回しがうまいし意味も深いし、ソウルドアウトらしさがあると支持されました。
飯田:ソウルドアウトは新しいことをやっている会社だから、「普通に考えたらできなくない?」というところを、どうやったらできるかという理由を探してやりきるんですよね。そこがソウルドアウトっぽいと思いました。
杉岡:会社の生い立ちにも近いですよね。そもそもソウルドアウトは、「地方企業、中小・ベンチャー企業向けに広告代理をやるなんて、儲からないよ」って言われながら始まった会社なので。否定から始まり、それを跳ね返してきた成り立ちにも通じる言葉だと思います。
会社の意思を統一するプロセス
ープロジェクトに携わってみての気づきや変化を教えてください。
荒木:以前よりも、グループとしてより強固に前進していけると感じました。私はグループ会社から参加しており、親会社からのメッセージが強くなるとグループ会社側がぶれるリスクもあるのではないか、という不安が正直あったんです。でも、今回この過程を経たことで、その心配はないとわかりました。メッセージの裏にある想いを責任を持って社内に伝えていきたいと思います。
岩崎:私は設立からずっと人事を担当して、経営の近くから社内を見ていたので、社員が増えるにつれて理念への理解が追いつかず、誤解を招いていると感じることがありました。
でも今回やってみて、表現は違ってもみんな根っこの想いは同じだとわかりました。今後も、グループ会社含め、私たちは同じなんだと伝えていくことが大事だと感じています。
ー今回できたバリューは、今後どのように活用していくべきでしょうか。
児島:社内では、社員それぞれがバリューの中から好きな言葉を見つけてほしいと思います。全部を好きになるのは難しくても、どれかひとつでもフィットするものを見つけて、それにコミットするとか。名刺の裏に書くとかいいんじゃないですかね。
岩崎:以前も、行動規範を体現した人に社員投票で賞をあげたりしていたんですよね。バリューに沿って頑張っている人を表彰する制度があってもいいですね。
杉岡:社外に対してだと、バリューができたことをきっかけに、支援の仕方をより良い方向へ変えていくべきだと思います。ソウルドアウトのこれまでの支援は、大手企業がやってきたことを中小・ベンチャー企業にも提供する、ある種タイムマシンみたいなやり方だったんですよね。でも、このバリューを掲げたからには、それを体現して中小・ベンチャー企業に向けた新しい支援を提示できるよう、チャレンジしなければと思いますね。
また、このプロジェクトは、バリューを作るまでのプロセスに50%以上の意味があると思っています。ソウルドアウトとは何かをそれぞれが考えることで、最後にはバリューが浸透しやすい環境ができている。私たちが支援する中小・ベンチャー企業にとっても、理念の浸透や意思統一は重要だと思うので、このプロセスを取り入れてほしいと感じました。
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